世界に例のない速さで超高齢社会を迎えた現在、注目を集めている「介護の仕事」。旭川の地域においても、高齢者や障がいのある方の日常生活の自立を助けるために欠かせない大切なお仕事です。今回の特集では介護の仕事について、仕事の内容ややりがい、どんな働き方があるのかなどをご紹介します。(監修/旭川市福祉人材バンク)
介護とは、通常の日常生活を営むことが難しい高齢者や障がいのある方に対し、食事や入浴、排泄などの日常動作の補助や、社会参加の援助などを行うもので、ご家族への対応やアドバイス等の援助も含まれます。
2016年度には、全国の要介護者数は約622万人にのぼり、2025年度末には介護職員が約245万人必要と推計されています。このうち北海道で必要とされる介護職員数は11万6千人と見込まれており、実際の職員数が現状のまま推移した場合、およそ2万人が不足すると予想されています(平成30年度厚生労働省調べ)。
このように、たくさんの人に必要とされている介護の仕事ですが、就職・転職を考えたときに、実際の仕事内容の想像がつきにくかったり、辛い・きついなどのイメージが先行したりして足踏みしてしまう…なんてこともあるのではないでしょうか。どのようなお仕事なのか、現場の正確な情報を得ることが大切です。
介護の仕事の職場は利用する方の状況により、大まかに以下の3つのタイプに分かれています。
特別養護老人ホームなどで、施設を住まいとして利用する方のためのサービスです。24時間365日対応で、入居者の方の食事・入浴・排泄などをサポートします。
デイサービスセンターなど、通いで食事や入浴など日常生活の支援を受ける方のためのサービスです。日中、レクリエーションや簡単な機能訓練の提供も行います。
自宅で身体の介助、その他家事など日常生活の支援を受ける方のためのサービスです。有料老人ホームなどの高齢者住宅へ訪問してサービスを提供することもあります。
特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの介護の仕事は、基本的に介護資格が必須ではありませんが、食事や入浴など利用者の身体に触れる援助(身体介護)や認知症の方などへの適切な対応が行えるよう、多くの施設が資格を有している方を採用しています。施設や事業所によっては、部屋の整頓や清掃といった身体に触れない生活の援助など、資格の有無で業務を分けて職員を募集していたり、働きながらの資格取得を支援したりするケースもあるので、無資格であっても求人をよく確認することが必要です。なお、訪問介護員は資格が必要となっています。
介護の仕事に就くためには大きく分けて3つの方法があります。
福祉科のある高校や、介護福祉学科がある大学、福祉系の専門学校などに通い、2年から4年のカリキュラムで知識や技術を習得します。在学中に資格取得できたり、卒業時に介護福祉士の受験資格が得られたりするところもあります。
学歴や実務経験、必要資格などの要件がない介護職員初任者研修は、養成機関の講座を受講することで取得できます。自宅学習と通学学習を並行して行うのが主流となっています。
無資格でも出来る範囲からまずは働いてみて、介護の仕事が自分に合っているのか、本当にやっていけるのかを確かめるのもよいでしょう。働きながら資格取得を目指す方法です。
介護の仕事に関する資格とキャリアアップの道筋は、おおむね下記のようになっています。
○介護職員初任者研修
介護の入門的な資格で、基礎的な知識・技術を身につけます。利用者の身体に触れる「身体介護」を行うために必要です。最短1カ月ほどで取得可能。
○実務者研修
初任者研修の次段階に位置付けられる資格です。2012年4月までは看護師のみ可能だった「たんの吸引」「経管栄養」の実務についても学びます。
○介護福祉士
介護の資格の中では唯一の国家資格です。正職員を目指すならこれがあればベストです。利用者の状況に応じた介護を行うスペシャリストです。
○認定介護福祉士
介護福祉士の上位資格です。介護職員のマネージャーとしての役割や、職種間連携の中核としての役割を期待され、より質の高いケアサービスを実現するための指導を行います。
ー旭川市内の特別養護老人ホーム施設長、佐藤さんにお話を伺いました。
採用活動には力を入れています。旭川市福祉人材バンク主催の「ふくしのお仕事のつどい」という職場説明会に参加して来場者とふれあう機会を作ったり、面接・入職前の施設見学会を頻繁に行ったりしています。全部で1時間程度で、個別での参加もOK、業務説明、質疑応答や設備見学などを行い応募前の疑問や気になるところなどを余すところなくお答えしています。4年前に施設をオープンしたのですが、それから入職した職員の約8割が入職前見学会の参加者です。
育成に関しては、入職したあとまずは日勤からスタートするのですが、新人職員用の3カ月間のチェックシートを作り、4週・7週・13週で段階的に身につけるべきスキルを明確化して業務に取り組んでもらいます。また、新人職員のスキルに応じて、バランスを考えたユニット(生活グループ)に配属し、相談しやすい環境を作るなど工夫しています。ほかにも、常に学ぶ機会を作るため、職員からテーマを募集して委員会を開き、職員みんなで勉強しています。
資格を持っていない方の受け入れも行っているので、介護職員初任者研修の取得を目指す職員には、養成学校に通う数カ月の間のシフトを調整し早番のみにしたり、研修費用を半額負担したりと、事業所全体で資格取得をサポートしています。
Q.施設系、通所系、訪問系ではそれぞれシフトはどうなっていますか?
A.施設系の介護施設では、早番・日勤・遅番・夜勤の4交代制シフトで、4週8休を基本としているところが多いです。一例として、早番(7:00~16:00)/日勤(9:00~18:00)/遅番(11:00~20:00)/夜勤(17:00~9:00)などがあります。夜勤明けの翌日は休日にする、翌々日は遅番にするなどの調整も行われます。通所系施設は日勤がほとんどで、訪問系の事業所では週1回、一日3時間などの柔軟なシフトも見られます。
Q.お給料はどのくらいが目安ですか?
A.資格の有無や勤続年数にもよりますが、北海道平均で月収22万円、年収約300万円程度となっています(平成29年度賃金構造基本統計調査を基に算出)。夜勤を増やしたり、資格を取ってスキルアップすると給料アップが見込めます。
Q.旭川で介護の仕事を探しているのですが、何か気をつけることはありますか?
A.福祉施設は郊外にあることも多く、バスなどの公共交通機関では通勤が難しいことがあるため、自家用車での通勤が必要となってくることも少なくありません。自家用車のない方は交通の便がよい施設や徒歩圏内の施設を探すのが良いかもしれません。
また、冬は施設によって除雪の状況が違うので、出勤・退勤時に除雪作業が発生することがあります。
Q.いきなり応募するのは不安。事前に施設の雰囲気などを知りたいです。
A.応募・面接前に見学可能な施設もあります。ご希望の方は見学を支援してくれる機関もありますので、連絡してみましょう。→旭川市福祉人材バンク
高齢者の支援や介護予防に関する業務を行っています。介護の仕事との関係では、旭川市内の介護従事者の確保対策について担当しています。
介護保険の制度などについては、こちらにお問い合わせいただけます。
担当:長寿社会課地域包括ケア推進係 電話:0166-25-9797
全国社会福祉協議会が運営する「福祉人材センター・バンク」のページです。
介護をはじめとした福祉に関わる仕事や資格について、わかりやすく説明されていますので、介護の仕事について知りたい方はこちらをご覧ください。
また、「求職者マイページ」に登録することで、就職フェアやセミナーなどの情報を受け取ることができます。
はたらくあさひかわ内で掲載する「介護」に関連する企業インタビューをご紹介します。
介護のしごとの魅力や、やりがいなど取材を通して企業の考えや働く方の声を掲載していますので、ぜひご覧ください。
「はたらくあさひかわプラス」では求人情報もご覧いただけます。
複数の介護福祉施設やケア事業を提供し、旭川市に住む高齢者の健康維持に大きく貢献する社会福祉法人 旭川たいせつ福祉会。職員のキャリアアップ支援にも積極的で、経験の有無を問わず働きやすい環境が整っています。
「満足より上の、感動できるサービスを」をスローガンに、介護業界でも珍しい訪問入浴サービスを提供するアースサポート株式会社。全国規模で蓄積された高いノウハウがあるので、業界未経験の方も安心して働けます。
介護の現場で第一線を走り続ける株式会社ニチイ学館。訪問介護やデイサービス、有料老人ホームなど多岐にわたる事業のなかで幅広く経験を積むことができます。また大手ならではの充実した福利厚生で資格取得から就職までを一貫サポート。
専門的なスキルを持つ人材も多く、看護・介護ともに万全なケアが可能なグループハウス静療館を運営する株式会社秀。従業員の働きやすさに配慮した充実の福利厚生により、無資格からでも安心して働ける環境が整っています。
医療・看護・介護を連携したサービスを提供するくにもとメディカルグループ。安心できる施設づくりと現場の人材育成に力を入れ、より包括的なサービス提供を目指しています。
平成14年より旭川にて介護・保育事業をグループ展開する社会福祉法人楽生会。JR駅近くの中心街にある立地の良さを強みとし、入居する高齢者の生活を支えています。
医療と介護の連携を柱に、在宅高齢者向けを中心とした介護サービスを提供する道北勤労者医療協会。職員採用への取り組みも多く、積極的に介護業界の後継者対策に臨んでいます。
旭川に根差して60年。福祉輸送の分野にいち早く力を入れてきた旭タクシー株式会社は、介護保険タクシーの先駆けとして総合生活支援事業を展開し、高齢者の生活をトータル的にサポートしています。
窓から大雪山が望める広々とした「共生園」は、高齢者と障がい者が一緒に暮らす生活の場。旭川共生会は「共に生活するところ」という思いを大切に、施設づくりを進めてきました。
東旭川で住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、訪問介護ステーションと手厚い介護サービスを提供している『まごころ館』を運営する、株式会社 至誠をご紹介します。
”結ばれたご縁を大切に育みながら、感謝の心で対応する” をモットーに利用者様一人一人に向き合い、心のこもった質の高い介護・看護を提供する、株式会社ゆあんをご紹介します。