株式会社Fan建築設計

未来に向けて自然を大切にした設計を心がける株式会社Fan建築設計。旭川を象徴する公園・常盤公園に隣接する新事務所に移転したばかりの同社では、設計スタッフを募集しています。

公共建築をメインに、旭山動物園の改修も

—代表の重綱博美さんにお話を伺いました。

弊社は昭和61年に創業し、元々は株式会社富居建築設計という会社名で豊岡地区で営業していましたが、平成28年4月に社名変更し、心機一転、事務所も移転したばかりです。
建築設計専門の事務所として旭川近郊をはじめ、札幌や稚内・網走など道内各地の建築物の設計・監理業務に従事しております。

業務の約7割が公共建築の設計・監理です。民間のお客様から受注する仕事としては、病院・クリニック関係や個人の住宅など大きなものから小さなものまで様々です。
旭川市内での仕事では、最近では旭川市からの発注で、緑が丘コミュニティーセンターの設計を担当させていただきました。市発注の仕事で言えば、古くは旭山動物園の設計に携わった事もあります。同園最初のリニューアルの際に、こども牧場、もうじゅう館、さる山、かば館、きりん館などの設計に携わりました。
今後は海外業務も増えていきそうで、最近では東南アジアの建物の建築設計の依頼がありました。

お客様のイメージを形にする仕事

—設計の仕事はどんな流れで行われますか？

雑誌や実際に見てきた建築物から「～風の建物」や「このような建物」というイメージが、お客さまにはあります。そのイメージに近づけるため、敷地の条件や建築基準法に沿った上で情報を整理していき、こういったものなら建てることができますよ、とディスカッションを繰り返していき、なるべくお客様の要望に応えるようにします。お客様のイメージは外観重視な事もありますから、内部の必要な機能とすり合わせる事も重要です。病院などの公共建築の場合は、機能面を優先していることが多いので、立地条件などを鑑み提案していきます。

設計業務は基本設計と実施設計に分けられます。
基本設計とは、「この土地にこの規模の、こういう建物を建てる」という建築の大枠を決めるもので、使用する部品やパーツなど、一般的な仕様を当てはめていき、必要な経費の概算を出していきます。その概算を元に、発注者の予算の大枠に照らし合わせ、建築内容を決めていきます。
実施設計とは建築物を建てるために必要な、より具体的な図面を作ることです。実際に使うパーツや床の仕上げ方、電気の配線などを細かく図面を起こしていき、工事にかかる詳細な予算を算出し、発注者が求める予算と折り合いを付けていきます。建築業者は、この実施設計を基に建築していく事になります。
大きな仕事になればなるほど期間が当然長くなり、設計だけで一年以上かかることもありますが、弊社では一つの仕事に一人担当者を付けるやり方で、最初から案件を熟知している社員が最後まで責任をもって携わります。

断熱や除雪を考慮した雪国の設計

—監理業務もあるんですね。

設計部門の行う監理とは、設計図通りに施工されているか監査する仕事です。例えば鉄筋が同じ長さや間隔で配置されているかの確認等ですね。全て細かく見るわけにはいきませんが、要所を部分的にピックアップして見ていきます。監理業務については学校で習うこともあるものの、現場に出ないと覚えることができない部分も多いですから、新卒者を初めとする実務未経験者には先輩がしっかり指導していきます。

—UIJターンの方は、本州と設計方法のギャップを感じるでしょうか？

建築の手法は、そう変わらないですよ。実際に本州から北海道に来て仕事をしている方も沢山いるのでそこまで気にすることではないと思います。一番の違いは、断熱の考え方でしょうね。省エネ法により、熱量を計算して出さなければならないので、そこが大きな違いと言えるかも知れません。雪に関しても、例えば屋根から雪を落とすか落とさないか、落とさない場合はどのように対応するのか、除けた雪を貯めるスペースをどうするか等、技術的な側面で検討事項が増えるという事はありますね。

景色を借りるという発想

—御社が大事にしている事は何ですか？

社名の「Fan」には「Future And Nature」という意味が込められています。未来に向けて自然を大切にした設計を、自然体でしていきたいという思いがあり、社名に入れることで、忘れること無く皆で考え方を共有できると考えました。
「借景」という言葉があるのですが、これは文字通り景色を借りるという考え方で、弊社では設計上、特に意識している部分です。窓からの眺めを建物の中に取り入れることが、近年設計を考えていく上で重要な要素になってきているのです。

実は、会社を引っ越した最大の理由は、裏に常盤公園があったから（笑）。ただ建物のことを考えるだけでなく、暮らしを考えるのも設計の大事な仕事ですから、それらを創り出す場所も重要だと思いました。お客様を招くこともある打ち合わせ部屋の窓からは常盤公園の景色が広がります。

子供が感動したものに仕事で関わることができました。

—この仕事をやっていて良かったと思うのはどんな時ですか。

まだ子供が小さい時に旭山動物園に遠足に行った際、「あの動物のいる建物はお父さんが設計したんだよ」と伝えることが出来ました。子供が見て感動したものなどに、自分が仕事で関わることが出来るとは、幸せな仕事なんだと思います。
弊社の仕事は建売住宅ではないので、完成したものを事前にお客様に見てもらうわけにはいきません。設計の段階では、タイルのサンプルなど小さなものでお客様と打合せたり、いくら3D図面で完成像を確認していただいても、実際に建物が建つまで中々実物のイメージが持ちにくいものです。だからこそお客様の期待を上回る仕事が出来たときは、驚きと喜びの言葉を頂けます。

見る目と知識を養う見学旅行は、海外へも

—募集する人材についてはどうお考えですか。

設計ができる方で、実務経験者が望ましいのですが、建築の学校を卒業していてやる気があれば新卒の方でも大歓迎です。現在は4名で設計をしており、少なくともあと1人は人材が必要な状況です。男女不問で、UIJターンの方の入社も大歓迎ですよ。私自身も千葉の大学を卒業後、函館で就職しその後旭川に戻ってきたUターン組です。
設計技術も大切ですがコミュニケーションが取れる事も必要です。社内の会話だけでなくお客様とお話をする機会もありますし、メーカーの担当者の応対などもあります。設計に関しての打合せの中で、お客様のイメージをくみ取り提案できることが大事ですからね。より満足度の高い仕事のためには、話す事が大切です。

2年に一度程度、社員研修を含めた建築見学旅行を実施しています。過去に行ったのは、北米、アフリカ、東南アジア、関西、関東などで、昨年はアメリカ東海岸に行きました。建築物を見る目を養い、知識を取り入れることでお客様との会話にもなるので、今後も続けたい社内行事です。

—応募を考えている方にメッセージをお願いします！

職業として誇りを持てる仕事であり、一生の仕事にする価値のある仕事だと思います。女性でも子育てをしながら働くこともできる等、色々な意味で働きやすい業種です。志のある方、是非一緒に働きましょう！