美浪左官工業株式会社

創業から80年以上左官業を営み、多くのノウハウを蓄積する美浪左官工業株式会社。
一般住宅から大型商業施設に至るまで、生活スペースに欠かせない「モノづくり」の企業です。

ゼロから造りだす仕事

—代表取締役社長の美浪利光さんにお話を伺いました。

日本での左官技能の歴史はとても古く、平安時代に造られた歴史的建造物の白壁を塗ることから始まったと言われています。
左官とは、建物に土やセメントモルタルなどの素材を塗ったり、砂壁や漆喰などの最終的な表面仕上げを施す職人のことで、弊社でも多くの職人が活躍しています。壁に何かを塗っているイメージを持つ方が多いと思いますが、コンクリートで造られた玄関の床を仕上げるのも左官の仕事ですし、皆さんが普段足を運ぶショッピングセンターなどの大型商業施設の壁や床だけでなく、階段の形を整えるのも左官工の業務です。コンクリートで造られた大きな建物の床は、ほとんどが左官工によって平たく整備されているもので、人が歩く場所を平らに、きれいに仕上げるというのが、実はとても難しく重要な技術なんです。

弊社は昭和6年の創業以来左官業務に従事してきまして、これまでたくさんのお得意様と取引をさせていただいており、旭川市内にある大きな商業施設の中にも、弊社で整備した床や階段がたくさんあります。一般住宅や商業施設の壁や床の他にも、テーマパークなどにある岩に見せて造られた擬岩の制作や、旭山動物園など動物が歩く床を滑らないように加工したりなど、特殊工事の仕事も多いのです。

形に残るモノづくり

—具体的な仕事内容を教えてください。

全体では大きく分けて養生・調合・塗りの工程があり、塗りの工程では「コテ」という左官専用の道具を使い、調合した素材を塗っていきます。
養生は、材料を塗布しない部分にテープやビニールを覆い、塗る箇所以外を汚さないように保護することで、「上手な仕上げは養生で決まる」と言われるほど、左官工にとって基本であり重要な工程です。
調合は、石灰や土・砂などの自然素材を粉末にしたものと、水を練り合わせて材料を生成することです。作業には、大きなバケツと電動ミキサーを使うので、ある程度の体力が必要です。
塗りには、下塗り・中塗り・仕上げ塗りに分かれており、それぞれの工程で塗り上げた材料が乾いてから次に進むので、きれいに仕上げることはもちろん、工期から逆算して作業をすることもとても重要です。
建築関係の仕事なので、勤めるには体力が重要だと思うかもしれませんが、仕事をしていく内に必要な体力や筋力は付きますし、工程を考えながら仕事をするので、頭を使う仕事がしたい方にも向いていると思います。

また、昔の現場は厳しい環境で仕事をしていたこともありますが、今は工場の中のようにきれいに整備されていますし、弊社では基本的に残業はしないようにしていますので、夜中まで作業をするということはありませんし、近年ではDIYの流行や手に技術を付けたいと考える方も多く、全国的に女性の左官工も増えてきていますよ。全国技能競技大会に出場したり、総理大臣のもとに表敬訪問した女性左官工もいますので、男性だけでなく女性もバリバリ働くことのできる職業です。

質の高い技能士を育てて、左官の技術を継承していきたい

—採用について教えてください。

左官技能士資格を保有していない方には、入社後2年間は仕事をしながら技術を身につけていくと同時に、会社に在籍しながら市内にある訓練校に通い使用器具の名称など左官に関する知識の習得をしていただきます。訓練校には年中通う訳ではなく、4月から12月の間は実技として業務に従事し、雪が降って建築業務が落ち着く1月から3月に通学します。
医師や美容師と違って免許が必要な仕事ではありませんが、弊社ではお客様から信頼を得るため、また職人の技術の水準やモチベーションを保つため、左官技能士二級以上の取得を必須にしています。取得にかかる試験などの費用は全て会社で負担しますので、一級左官技能士を早期に取得して、現場をまとめる立場を目指してほしいです。
建物は取り壊さない限り残り続けますし、自分の携わった建築物が形として残る仕事ですので、やりがいはもちろん達成感が大きい職業ですので、未経験の方もまずは気軽にお問い合わせいただきたいです。

また、働き方改革にも柔軟に対応しようと考えています。例えば既に左官工の技術をお持ちの方で、夏の暑い時期は北海道で仕事をしたい方や、数か月仕事をしながら移住体験したい方など、まずはちょっとした移住体験をしながら弊社に勤めたい方も大歓迎です。いきなり仕事を辞めて移住するのは大変だと思いますので，旭川での生活や弊社の仕事を経験して、ゆっくり移住を検討してほしいと思います。
住居や交通費などは応相談ですが、左官の仕事は技能があれば地域を問わずにできる仕事ですので、ぜひ旭川でも活躍していただきたいですね。

—これから迎える方にメッセージをお願いします。

左官の仕事の多くは、見えないところを支える仕事ですが、例えば「建物の床が平らである」という一見当たり前のことを、江戸時代よりも昔から、当たり前のように左官工が仕上げてきたのです。近年では、土などの自然素材を使用しているため再利用ができることや、地球の環境問題の観点から見直されている技術であり、これからも建築の世界ではなくてはならない職業です。
身につけた技能は自分のものになりますし、しっかりした技能を持っていれば、左官職人として生涯活躍できる仕事ですので、モノづくりに興味のある方はまずは気軽にお問い合わせください。